我流シナリオは失敗の元?サービス紹介動画の依頼前に知っておきたい、「フレームワーク」と「伝わる構成」

「商品の魅力なら誰よりも分かっている!
 だからシナリオも熱意を込めて自分で書きました!」

動画制作の依頼において、実はこの「我流(オリジナル)のシナリオ」こそが、最も失敗しやすいパターンの一つです。

なぜなら、サービス・商品愛がある担当者ほど、「あれも伝えたい、これも知ってほしい」と情報を詰め込んでしまい、「視聴者がどう受け取るか」という視点が抜け落ちてしまうからです。

その結果、出来上がるのは「言いたいことは全部入っているけれど、誰の心にも響かない動画」。

これでは、成果につながらず制作費が無駄になってしまいます。

本記事では、感覚や熱意ではなく「ロジック」で成果に繋げるためのシナリオ構成について解説します。


目次

なぜ「詰め込みすぎ」は失敗するのか?
脳のメモリの話

シナリオを作る際、担当者が最も陥りやすい罠があります。

それは、「あれもこれも伝えたい」と情報を詰め込みすぎることです。

なぜ良くないかというと、

心理学者ネルソン・コーワン教授が提唱した「マジカルナンバー4±1」という概念をご存知でしょうか?

これは、「人間が短期記憶で一度に保持できる情報量は3〜5個(4±1)が限界である」という考え方です。

動画の中で「サービスの特長が7個あります!」と熱弁しても、視聴者の脳のメモリはパンクし、結果として「何も印象に残らない」という事態を招きます。

そのため、動画の尺的にも伝える内容は3つに絞ることをオススメします。

脳に優しい「ワンセンテンス・ワンメッセージ」

情報の数だけでなく「文章の長さ」も重要です。

一文に複数の情報を詰め込むと、視聴者は文頭の内容を記憶したまま文末まで聞かなければならず、脳に多大な負荷がかかります。

ここでは、架空のサービス(従業員のメンタルヘルス管理ツール)を例に、NG例とOK例を比較してみましょう。

【× NG例:2文に情報を詰め込みすぎている、一文が長い】

【問題提起、解決策、サービス内容】
「テレワークで従業員のメンタル不調が増えてお困りだと思いますが、AI分析と相談機能を備えた『メンタル・アイ』なら離職率を改善できます。

【限定性、行動喚起】
今なら初期費用無料でお得に導入できますので、ぜひ概要欄のリンクからお問い合わせください。(画面に期間を表示)

前半に「問題提起・解決策・サービス内容」、後半に「限定性・行動喚起」が混ざっており、要点がボヤけてしまいます。

【◎ OK例:短く区切ってわかりやすく伝える】

【問題提起】
テレワークによる従業員の『隠れメンタル不調』に悩んでいませんか?

【共感】
表情が見えない分、ケアが難しいですよね。

【解決策】
その悩み、『メンタル・アイ』が解決します。

【サービス内容(提案)】
『メンタル・アイ』は、AIによって従業員の感情分析と相談ができるため、離職率を改善できます。

【限定性】
今だけ!初期費用無料で離職率改善をサポート。
(画面に期間を表示)

【行動喚起】
詳しくは概要欄のリンクから。

このようにワンセンテンス・ワンメッセージを意識することで、理解しやすい動画のシナリオになります。


わかりやすく伝えるためのシナリオ構成のフレームワーク【実例解説あり】


「詰め込み過ぎないで、短くわかりやすく伝えるのがいいのはわかったけど、どういう構成(順番)にしたらいいかわからない…」

というように悩む方も多いと思います。

そんなときは「フレームワーク」に当てはめることをオススメします。

実は先ほどのOK例はターゲットに行動(購入など)を促すための
セールスコピーライティングのフレームワークである「新PASONAの法則」を活用しています。

Problem(問題)
悩み、不安、不平、不満を示して問題提起をする

Affinity(共感)
問題に対して寄り添い、共感する

Solution(解決策)
問題解決策として商品とその機能などを紹介する

Offer(提案)
提示した解決策の根拠や効果の証拠を提案。

Narrowing Down(絞込)
ターゲットや期間を限定する

Action(行動)
行動を促す

新PASONAの法則

動画の「目的」に合わせて、オススメのフレームワークの一例をご紹介します。

① サービスの理解促進にオススメ!「PASBECONAの法則」

「新PASONA」をさらに発展させ、Benefit(ベネフィット)、Evidence(証拠)、Content(内容)を厚くすることで、視聴者の「本当に役に立つの?」という疑念を払拭するフレームワークです。

1〜3分の理解促進の動画にオススメのフレームワークの1つです。

実際に、私が制作に携わった株式会社ジェイシー教育研究所様「センターTen」サービス紹介動画のシナリオをこのフレームワークで分解して解説します。

この動画は展示会で放映するために制作したサービス紹介動画です。

既に興味を持っている人が展示会に来ているという前提で、理解促進の動画を制作しました。

人の話し声などで音声が聞こえづらくても大丈夫なようにフルテロップにしています。

またいつ見てもサイトにすぐアクセスできるように常に二次元コードを表示しています。

▼「センターTen」のシナリオ構成

【Problem:問題】
受験生を指導している先生や塾講師のみなさん!
教材やテスト作成でこんな悩みはありませんか?
・過去問の入手が難しく、書籍だけでは不十分。
・目的の問題を探すのに時間がかかる。
・作成時の校正が面倒。


[解説]
「先生や塾講師のみなさん」と明確に呼びかけることで、展示会に来ているターゲットに意識させます。

さらに「過去問の入手が難しい」などの具体的な「あるある」な悩みを提示ことで、「これは自分に関係がある動画だ(自分ごと)」と認識させた 。

【Affinity:親近感】
これではテスト作成に追われて、先生本来の仕事ができないですよね。
 

[解説]
単に「大変ですね」と言うだけでなく、「本来の仕事(生徒指導など)ができない」という、担当者が抱える最も深い痛み(潜在的な不満)に寄り添い、共感を示すことで信頼関係を築きます。

【Solution:解決策】
そんな悩みを「センターTen」が解決します。

 
[解説]
共感得て信頼を高めた後に、解決策としての「サービス名」を提示。

【Benefit:利点】
「センターTen」は問題検索・選択・出力に対応した、教材・テスト作成の決定版です!


[解説]
単なる機能紹介ではなく、「決定版」と言い切ること「これさえあれば解決する」という安心感を与えます。

【Evidence:証拠】
ご利用中の先生方から「時間効率がアップした」「とても便利」「初めてでも簡単」など高い評価を受けています。
 

[解説]
利用者の声を提示し、視聴者が抱く「本当に使えるのか?」「難しくないか?」という不安(心理的ハードル)を下げます

【Content:内容】
そんな「センターTen」でのテスト作成は簡単3ステップ!
①検索:
「センターTen」は共通テストと、全31回分のセンター試験の膨大な過去問を収録。
カテゴリ検索やフリーワード検索などで、内容から問題素材を探すことができます。
②選択:
検索結果から、必要な問題のみ選択するだけ。
③出力:
校正済の問題と解答を、Wordなどのワープロソフトに出力できます。
 

[解説]
複雑なツールだと思われないよう、「簡単3ステップ」とハードルを下げつつ、具体的な手順を見せることで、導入後の利用イメージを湧かせます 。

【Offer:提案】
さあ、「センターTen」でテスト作成の手間を省いて、生徒指導や教材吟味など、先生本来の仕事に打ち込みましょう。


[解説]
機能の利用そのものではなく、ターゲットが真に望んでいる未来(ベネフィット)を再度提示し、背中を押します 。

【Narrowing:絞り込み】
(※今回の動画では省略されています)


[解説]
今回は「期間限定」などで焦らせるよりも、普遍的な悩み(Problem)への訴求を優先し、いつでも誰でも使える定番ツールとして信頼を得る構成にしたため、あえて省略しています。

【Action:行動】
まずは無料体験版からお試しください!
(画面表示:無料体験版 お申し込みはコチラ! 二次元コードを常に表示)
 

[解説]
いきなり購入させるのではなく、「無料体験」というリスクのない行動を提示することで、申し込みへのハードルを下げています 。

② 認知獲得・興味喚起にオススメ!「CAMSの法則」

15〜30秒程度の短い動画(動画広告など)で、まず「知ってもらう」ことに特化したフレームワークです。

私が制作に携わった株式会社VOICE様の英語学習アプリ「Clacel 2.0」のプロモーション動画を例に、「画面上のテキスト情報」がいかにしてCAMSの役割を果たしているか解説します。

この動画は下記Youtubeの動画の最後でサービスをプロモーションするために制作しました。

https://www.youtube.com/@eigo_miyu


▼英語学習アプリ「Clacel 2.0」プロモーション動画のシナリオ構成

【Catch:つかみ】
ついに公開。
Clacel Upgraded from 1.0 to 2.0
知ってる単語なのにいつまでも話せない。
なぜか?


[解説]
Youtubeを見終わった視聴者に「なんだろう?続きを見たい!」と思ってもらうように「ついに公開」と提示。

また多くの英語学習者が抱える「悩み」を提示し、さらに「なぜか?」と問うことで、さらに「続きを見たい」と思ってもらうような文章にしました。 

【Appeal:アピール】
その答えは音にある。
英語脳をつくる新感覚の音ベース学習法!


[解説]
前のパートの問いに対し、独自の解決策(=音ベース学習法)を提示。
「新感覚」という言葉で、従来の方法とは違うことをアピールしています。 

【Motivate:動機づけ】
留学・コーチング経験に基づく500分以上の単語解説。
非ネイティブだからできる発音矯正とイメージ解説。
暮らせるレベルの英語力が身につく Clacel。


[解説]
「経験に基づく」や「500分以上」という具体的な数値(権威性)と、「非ネイティブだからできる」という共感性の高いメリットを提示し、アプリを使う動機を提示。 

【Suggest:提案】
詳しくは概要欄のリンクから


[解説]
動画を見終わった視聴者が迷わないよう、具体的な次のアクション(リンクをクリック)を指示

今回ご紹介した2つのフレームワーク以外にも、マーケティングの世界には様々なフレームワークが存在します。

興味のある方は、ぜひご自身でもリサーチしてみてください。


まとめ:「足す」ことよりも「引く」勇気とフレームワークの活用を

冒頭でお伝えした通り、視聴者の脳のメモリには限界があります。

だからこそ、サービス・商品愛ゆえに情報を詰め込むのではなく、勇気を持って情報を「引く(削ぎ落とす)」ことをやってみてください。

そしてオリジナルではなく、ターゲットに行動を促すためのセールスコピーライティングのフレームワークを活用した動画のシナリオをクリエイターに提案してみましょう。

「自社のサービスや商材なら、何を伝えて、何を捨てるべきか?」
「自分だけだと文章を上手くまとめられない…」
など


もしシナリオ制作で迷われた際は、ぜひお問合せからお気軽にご相談ください。
貴社の課題や内容に合わせたシナリオをご提案させていただきます。

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この記事を書いた人

森田 浩司のアバター 森田 浩司 ビジネスモーションデザイナー

千葉県在住のビジネスモーションデザイナー。信州大学大学院理工学系研究科 修了後、研究開発職を経験。その後アニメーション映像制作をスタートし、セールスライティングを活用してわかりやすく伝わるアニメーション映像制作を中心に事業を行う。オンラインセミナーへの登壇やアニメーション映像制作のコンサルティングなど後進育成にも力を入れている。

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